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とある物の追憶-5話

2010.01.28 - お話(01)

PC整理中に、書きかけの文章がでてきたわけで。

すっかり忘れていたので、上げちゃいたい。
ちゃんと終わらせたいってのもあるんだけど。


という事で、いつも面白くないブログは、本日。
さらに面白くない記事が載りますので、ここでUターン推奨。


・・・なんかフクザツだよね?(笑)












しんと静まり返る部屋には、心地よい風が訪れる。
ふわりと分厚い本のページを揺らすが、ふわりと落ちる。
紙と風の奏でる音は、少年の心の波を和らげる。

日の光は、眠りにつこうとゆっくりゆっくり
手紙の持ち主の背中と同じ高さとなり
ゆっくりゆっくり影は深みを増していく。


「少年は無口な性格だったかな?」

手紙の持ち主は軽く、はははと笑う。

なんで笑って・・・

光でよく見えなかったけれど。
彼の笑顔は、悲しい・・・寂しい笑顔に見えた。

「さあ、少年。もう夜も近い・・・そいつで終わりにしようか。
 ほら、せっかくだから読んでくれるんだろう?」


今日、僕が届けにきた・・・"最後"の手紙だ。







 こんばんは、コンリ。

この手紙を最後にするね。

もっと遊びたかったなぁ。
もっと勉強したかったなぁ。
もっとキミと居たかったなぁ。

君と一緒の時間は、毎日が輝いてた。
君がこの時間をたくさんくれたんだよね。

たくさんたくさん、ありがとうって言いたいよ。
この想い・・・キミに届くかなぁ・・・。

 もうじきタブナジアの歴史が終わるみたい。
キミとずっと生きてきたボクの時間も・・・終わるんだね。

 なにを書こうか、ずっと悩んでたんだ。
手紙を書いてた時間は、とっても楽しくて。
手紙だけでも、文字だけでも、繋がっていられる事が嬉しかった。
でも、これが最後なんだと思うと、なんにも出てこないよ。
君はこんな手紙じゃ笑ってくれないよね。

こんな手紙じゃ、読んでくれないかな。


 ・・・何にも出てこないって言うのはウソ。
書きたく無かっただけなの。




コンリ。

ありがとう。




ばいばい。



ハク・リース





彼女の想いと一緒に終わった手紙を、少年は見つめ続ける。
そして、目を真っ赤にして、泣いた。


「ご苦労だったな、少年。」

何も変わらない声。
もう日は完全に姿を隠し、金色の月が輝いていた。

「こんなに晴れているのにな。雨が降るとは思わなかったぞ。」


「え・・・?」


それが、少年とコンリの流す涙だと気づいたのは、もう少し後のこと。
少し赤くなったコンリの目を見たから。



赤い目をこすりながら、少年は言う。
「そういえばコンリさん。仕事のセンパイが言ってたんですが・・・。」


「何をだ、少年?」


「とても白い肌のミスラの女性が、ずっと前にジュノの病院に
 運ばれたみたいなのですが・・・。
 その女性は、何通かの手紙を手放さなくて、血と汗と雨で
 濡れた手紙から、コンリさんっぽい名前が見えたとか・・・。」

ぽい、というのは、そのミスラの女性は手紙を話さないのだと言う。
握り締めた隙間から、ぼやけてしまったインクから、なんとか
読み取れたのだと。

聞こうにも、「あうー。」としか喋らず、詳細は分からない。


「そうか。」


「あの・・・」


帽子をきゅっと深くかぶる。

あれってまさかアーティファクト・・・?
・・・あれ?

「・・・しばらく留守にする。すまないな、少年?」


コートを羽織ると彼は、にぃっと笑う。

「いってらっしゃい!」

彼の眼は、もう一点しか見ていない。
彼の背中をみた少年は思う。



手紙を届けて良かった。

これからも、たくさんたくさん・・・届けたいな。
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Comment

無題 - くま紳士

Uターン推奨と言われた記事に限って喰らい付く私が登場しますよw

第五話との事ですが、
ブログ上では今回のが初掲載?


物語りもヴァナディールが舞台なのですね。
タブナジアのひとからの手紙であるならば、時代は水晶戦争中か その終結直後という事でしょうか。

なるほど、名前は出てこないですが
この「少年」の語りは素敵ですね。

幕間劇のような そんな感じではありますが、
雰囲気の出ている、良い文章だと思いますよw
2010.02.01 Mon 01:23 [ Edit ]

Re:無題 - 管理人:ゆず

カテゴリ→お話 と見てもらうと、じつは全5話あります(笑)

お察しのとおり、水晶対戦の時代。タブナジア崩壊を遠い目線から書いたカンジになっております。

あくまで手紙を持ってきた少年は、話の進行役なのですが
それだけだとかわいそうなので、自分も何か感じ取ってもらえばなと。

手紙、頑張って届けて欲しいですネ。

すごく嬉しいですー!
ありがとうございます!!

2010.02.08 23:08
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